コラム

災害時における関り方のヒント
~心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド)を参考にして~
[2024.2.29]

災害時における関り方のヒント東日本大震災以降も、日本も全国でも多くの災害が起こっています。
災害が起こって、大変な思いをしている人がいて、“どう話しかけたら良いか”“何を言われたら受け入れにくいのか”、伝える側も戸惑ってしまう。最近そういったことを耳にすることが増えました。
その人を大切に思って接したいのに、ひとりひとり体験や考え方が違うから難しい…。正解はないのですから悩んでしまいますね。
ただ、この“ひとりひとり体験や考え方が違う”という点を大切のするのが、災害や緊急時、心がショックを受けている時期における関わり方の、最も重要なポイントにもなります。

世界保健機関WHOが災害や紛争が起こった時の心の応急処置として「サイコロジカル・ファーストエイド(心理的応急処置)」というガイドラインをまとめています。

この中に、「言ってはならないこと、してはならないこと」という項目があります。
“ひとりひとり体験や考え方が違う”ということをまず頭に置いて、こちらを参考に、関わり方を考えてみるのはいかがでしょうか。

言ってはならないこと、してはならないこと(WHO版PFAより一部抜粋)

  • 無理に話をさせてはなりません
  • 相手の話をさえぎったり、急がせてはなりません(たとえば腕時計を見たり、早口でしゃべるなど)
  • 被災者がしたことや、しなかったこと、あるいは感じていることについて、価値判断をしてはなりません「そんなふうに思ってはいけませんよ」などとは言ってはならない。
  • できない約束や、うわべだけの気休めを言ってはなりません
  • 相手の問題を全部解決しなければならないかのように考えたり、行動してはなりません
  • 自分のことは自分でできるという強さや自尊心を弱めてはなりません
  • 誰かについて否定的な言業で話してはなりません。(「頭がどうかしている」「めちゃくちゃ」などの言葉を使わない)

この項目で大切なのは、

💛相手を尊重する
💛その人の持っている力や出来ることをサポートする
💛否定的な態度で関わらない

そうして自然な心の回復を支えることです。

大切な人の心が回復することを願って。

出典)心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド)

 

寒い時期は日光に当たるように心がけましょう[2023.12.7]

日増しに冬の寒さが感じられるようになってきました。
寒くなると、つい外に出るのが億劫になったり、気分がふさぎこんだりするように感じられることもあるかもしれません。

寒い時期こそ、意識的に太陽、お日さまの光にあたることが大切です。
それにはこんな心と体のメカニズムがあるからです。

〇気分とセロトニンの関係
寒い時期は日光に当たるように心がけましょう日光を浴びると、私たちの脳内では「セロトニン」という神経伝達物質が分泌されます。神経伝達物質とは、神経と神経の間をつないで情報を流していく物質で、セロトニンという物質は、私たちの心を安定させる作用があると言われています。ストレスに強い神経伝達物質とも言われます。
ですので、セロトニンが減少すると、気分がふさぎ込んだり、イライラしやすくなったり
することも分かっています。
日光を浴びる時間が減ると、その分セロトニンも作られにくくなります。つまり、日本では日照時間が減る秋冬の時期は、セロトニンも作られにくくなり、気分も変わりやすい時期になります。

〇睡眠とメラトニンの関係
メラトニンというホルモンもまた日光と関係しています。そして、メラトニンは睡眠と深くかかわっています。メラトニンの分泌は良い睡眠リズムと睡眠の質に影響します。
セロトニンと同様、日光を浴びることでメラトニンは作られますので、日照時間が減る秋冬の時期は睡眠が上手くいかない人が増える時期でもあります。

冬はちょっと意識して、日光に当たる時間をつくりましょう。
朝起きたらカーテンを開けてしっかり朝日を浴びたり、お昼休みや仕事前などに少しの時間でも良いので散歩してみたり、外に出て日光を浴びる機会をつくるのがお勧めです。

セロトニンもメラトニンも日光に浴びることで分泌されますので、日光に当たることは、心の安定に良い行動だといえるでしょう。

日照時間の長い春夏よりも意識して日の光を浴びて、安定した気持ちで過ごせるといいですね。

乳幼児の顔マネとマスクの関係[2023.8.31]

「マスクをしていると表情が見えなくて子どもの発達に影響するって本当ですか?」

時々こんな質問をしてくる養育者の方がいらっしゃいます。

笑顔の親子実際、口元が見えないことと子どもの発達には関係があると言われています。一般的にマスクは目から下を覆い隠すので、表情を理解する機会が減ってしまい、表情の理解が育ちにくいことが心配されています。
ただ、口元が見えないことへの影響は表情だけではありません。例えば、食べたり、発音したりすることにも関係しています。子どもはモデリングということを行って、様々な活動を覚えていきます。
「モデリング」とは、対象物を見本(モデル)に、そのものの動作や行動を見て同じような動作や行動をすることです。乳幼児は相手の目だけでなく、口元や顔の全体を真似て咀嚼や発音を覚えていきます。例えば、養育者が乳幼児に「ウマウマ(美味しいね)」と口をモグモグさせて見せることで、乳幼児もモグモグしたり、モグモグしながら「ウマウマ」と言ったり、ニコニコとした表情をしたりするのです。この顔に表現された様々な情報が、人間に必要な行動や動作、情緒にはたらきかけることになります。

「でも、うちの子ずっとコロナ禍で、保育園で過ごす時間が長かったから、表情や動作が上手く覚えられているか心配です」

こう心配される方もいるでしょう。

確かに、一番学んで成長しやすい時期があることは確かです。ただ、家族はマスクを外して接していたでしょうし、今からもそれは育っていきます。

新型コロナウィルスが5類に移行され、必要な場面を除いてマスクの着用の判断は個人の判断に委ねられました。可能な範囲で、表情の見える生活をし、積極的に表情や動きがよく見える様に声もかけながら子どもには関わって頂きたいと思います。

「3.11伝承ロードふくしま」のご紹介[2023.7.3]

サイトを開くと、青い背景をバックに福島県の地図が描かれ、
「3.11伝承ロードふくしま」の文字が載っています。

3.11伝承ロードふくしまそして、スクロールしていくと、

「2011年3月11日14時46分。
福島県では未曾有の大地震·大津波、
そして原発事故に見舞われました。
あの日の経験·教訓を次の世代につなげるべく、
県内に震災の伝承施設13館ができました。

未だかつてない複合災害を経験した私たちだから伝えられること、
復興までの歩み、そして今日の姿 -。

甚大な自然災害が増えている今、
あの日から今日までの経験をより多くの人に伝え、共有していきます。」

と書かれています。

大地震·大津波·原発事故という複合災害を経験した福島県だから伝えられること。
これからの未来に向けた思いが、この青い背景と福島県の地図に表れている様に感じます。

ふるさとの土地を思う気持ち、ふるさとの人を思う気持ち、それは未来の土地や人を思う気持ちでもあり、
何よりも自分自身を大事に思う気持ちにつながる様に思います。

新しく出来た伝承施設の中には、それまでの歴史を見、体験することが出来ます。
ご自身やご自身の歴史を大切に思う時間になればと思い、このサイトをご紹介いたします。

こちら↓をクリックしてもリンクします。
https://www.densho-road-fukushima.com/
サイトの画像もリンクしますので、クリックしてご覧下さい。

アクアマリンふくしまサイトでは、東日本大震災·原子力災害伝承館や、アクアマリンふくしま(いわき市)、コミュタン福島(三春町)など、いわき市、白河市、相馬市、三春町、楢葉町、富岡町、浪江町にある施設が紹介されています。

復興までの歩み、そして今日の姿について、
あの日から今日までの経験をより多くの人に伝え、共有されています。
各施設でのイベント情報も掲載されていますので、ぜひご覧ください。

2022年までのコラムはこちらのページに掲載しています。
▼2022年までのコラム

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