コラム

誰かに話すことの大切さ[2017.08.19]

誰かに話すことの大切さ今年は空梅雨と言われていましたが、局地的に短時間で大雨が降り、日本各地で甚大な被害が起きていますね。この様子の映像がニュースなどで何度も流れているのを目にして、被災経験のある方の中には、被災当時を思い出してしまった方もいらっしゃったかもしれません。最近は思い出さなくなっていたのに、また当時のことが甦ってきて、気持ちが揺れて驚かれたりしたかもしれません。
どうして時間がたっているのに、こんな風に気持ちが揺れるのか…。
日常生活で考えてみましょう。例えば、悪気はないけれど心にトゲが刺さるようなことを誰かに言われたとします。言った人はそのことを覚えていないのですが、言われた方はいつまでもそのことを覚えていたりすることってありませんか。これは言われた側からすれば、言われてモヤモヤする気持ちが解消されず、いつまでも心の中でくすぶり続けている状態とも言えるでしょう。この状態では、普段そのことを忘れていても、何かのきっかけでモヤモヤした気持ちに火がついて再燃することになります。
そんな時、「こんな嫌なことがあった」と誰かに話せれば、モヤモヤが解消されてすっきりとすることがあります。心の中でくすぶっているモヤモヤの火種をそのままにせず、誰かに話すことで消火できると、次からは火がつきにくくなるのです。
このことは、被災の体験にも通じます。

「思い出して辛いな」「突然その記憶が出てきて混乱していしまった」、そんな時は、誰かに話すことで変わることがあります。
電話相談「ほっとラインしゃくなげ東京」もそういった時にお役に立てればと思います。

文字を書くということ[2016.12.8]

文字を書くということ日ごろ、ペンや鉛筆で文字を書くことはありますか。パソコンや携帯電話を使って文字を画面に入力することはあっても、紙に向かって字を書く機会は少ないかもしれませんね。学校の授業などを除くと、鉛筆やペンなどの文房具を手にする機会が減っているのが現代人のライフスタイルと言えます。しかし、そんなご時世だからなのか、近年、ペン字や硬筆を習ったり、写経をたしなむ人が増えているそうです。「綺麗な字を書きたい」とか「パソコンばかり使っていると漢字の書き方を忘れてしまう」など様々な理由があるようですが、「紙に向かって文字を書いていると気持ちがリラックスする」、「雑念が消えて静かな気持ちになれる」など、精神面が安定する効果から始める人もいるようです。

それでは、どうして字を書くことが精神面に良い影響を及ぼすのでしょうか。一つには、鉛筆やペンを持ち、指先を使うことで脳を活性化させる効果があります。脳が活性化されるということは、創造力や意欲などが高まり、楽しさ、嬉しさや安らぎなどの心地良さを生み出しますので、これが先ほどの「文字を書いていると気持ちがリラックスする」ということにつながっていると考えられます。それから、別の効果として、文字を書くことに意識を集中させることで、精神統一できることが挙げられます。先ほどの「雑念が消えて静かな気持ちになれる」という状態であり、瞑想や座禅と似たような意識の状態に近いかもしれません。  
つい、便利でスピーディなものを求めがちな世の中ですが、たまにはゆっくり紙に向かって文字をしたためる時間を持ってみるのも良いかもしれませんね。

流行りの“カフェ”に見る“人とのつながり”[2016.10.20]

流行りの“カフェ”に見る“人とのつながり”「○○カフェ」という言葉を最近よく耳にしますね。「猫カフェ」、「ものづくりカフェ」、「哲学カフェ」や「落語カフェ」なるものもあるそうで、趣味や嗜好を共有する場として多種多様なカフェが存在するようです。そして、今の時代を反映した「認知症カフェ」や「子育てカフェ」なども登場しています。こちらは、カフェに集まった人々がお茶を飲みながら悩みや体験談を話し合うことで、情報交換をしたり、支え合う人間関係を築く場になっているそうです。どうやら、「○○カフェ」には、単なる「お茶を飲むオシャレな喫茶店」というだけではなく、人と人とのつながりを深める意味合いがありそうですね。

 さて、日本人がお茶を飲む習慣は、奈良時代に中国から日本にもたらされたと言われています。その後、茶道や闘茶(利き茶)の文化が広がり、お茶は、飲み物というだけでなくコミュニケーションの手段としても重宝されるようになっていきました。最近耳にすることが少なくなった「茶話会」という言葉がそれを物語っていますね。東北地方で使われる「お茶っこ」という言葉や「茶飲み友達」といった言葉もこれに近いでしょうか。お茶を飲み、日々のよもやま話をしながら人間関係を深める場が、昔から日本には自然とあったと言えます。

 ですが、人と人とのつながりが希薄になってきた現代では、「茶話会」などの機会も減ってきていますし、不特定多数の人と自由に話す場というのは敬遠されることもあります。そこで、「○○カフェ」という看板があると、「同じ趣味の人がいるんだなあ。」とか「同じ悩みを持っている人がいるなら、ちょっと話してみようかな。」と入ってみたくなるのかもしれません。隣近所の顔が分からず、誰とも話さない日もある現代人にとっては、「○○カフェ」は人とのつながりを感じられる大切な場なのかもしれませんね。

相手も自分も大切にする“伝え方”[2016.9.29]

相手も自分も大切にする“伝え方” 皆さんは人に対してイライラした時にどうしていますか?
 たいていは、自分でイライラを抑えて我慢するか、相手にイライラをぶつけるかのどちらかになりやすいのではないでしょうか。例えば、大事にしている本を友達に貸したがなかなか返してくれずイライラしている場面を考えてみます。このとき、返してほしい気持ちをグッと我慢するか、早く返すように怒って言うかのどちらかに、なりがちだと思います。

 グッと我慢する場合は、自分の気持ちを押し殺して嫌な気持ちを抱え続けることになります。逆に、早く返すように怒って言う場合は、言いたいことは言えても、その後、相手との関係が難しくなり、やはりすっきりとした気持ちにはなりません。

 こういう時の対応法の一つとして、カウンセリング場面などで使われる方法を紹介したいと思います。それは、「アサーション」という方法です。英語で「主張」という意味なのですが、自分も相手もどちらも大切にする表現の仕方として広まってきています。「アサーション」は、相手に配慮をしながら、自分の気持ちや要求を率直に伝える方法です。先ほどの例に当てはめると、「(私にとって)大事な本なのでそろそろ返してもらえますか。でも、(あなたは)まだ読みたいですか?それなら今週いっぱい貸すことができますよ。」といった言い方になります。

 どうでしょうか?これなら自分の気持ちを抑えつけることもしなくてよいし、相手も不快な気分にならないのではないでしょうか。日頃、我慢ばかりしている、怒ってばかりいるなあなどと思われる方、試してみていただけたらと思います。

ストレスと上手く付き合うために[2016.7.28]

ストレスと上手く付き合うために 私たちの日々の生活で、ストレスという言葉が当たり前に使われていますが、ストレスが溜まるとはどのような状態なのでしょうか。ストレス研究の第一人者セリエ(H.Selye)によると、なんとなく調子が悪い、肩がこる、腰が痛い、食欲がない、眠い、全身がだるい、元気がないといった漠然とした訴えが起こってくる状態だと言われています。そのような状態が長く続くと、憂うつ感、イライラ、不安、思考力低下、無気力、人と会いたくなくなる、会社や学校を休むなどの症状が現れてきます。

 さて、次にそのようなストレスを起こす原因にはどのようなものがあるでしょうか。50年ほど前に、アメリカで日常生活の中でストレスの強い出来事を数値化した研究が行われました(Holmes,T.H. &Rahe,R.H. 1968)。
 それらを上位15位までを表にまとめてみました。

順位 出来事 ストレスの強さ
(100が満点)
1 配偶者の死 100
2 離婚 73
3 配偶者との別居 65
4 刑務所への収容 63
5 近親者の死 63
6 大きな病気やケガ 53
7 結婚 50
8 解雇・失業 47
9 配偶者との和解 45
10 退職・引退 45
11 家族の病気 44
12 妊娠 40
13 性の悩み 39
14 家族の増加 39
15 仕事の変化 39

(Holmes,T.H. &Rahe,R.H. 1968)

 多くは悲しみや怒りなどのマイナスの感情を引き起こす出来事ですが、なかには7位の「結婚」、9位の「配偶者との和解」のように一見するとマイナスではないようなこともランクインしています。つまり、ストレスというのは良い出来事であっても悪い出来事であっても、何か身の周りに変化が起こると生じるものなのです。

 このコラムのコーナーでは折にふれ、そのようなストレスを生じさせる様々な出来事について、その対処のコツを臨床心理士ならではの視点からお伝えしていきたいと思います。

  • 東京臨床心理士会からご挨拶
  • 臨床心理士とは
  • コラム
  • 活動ピックアップ