コラム

このページは2022年までのコラムを掲載しています。
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心の防災②「同調性バイアス」[2023.2.9]

前回に引き続き、「災害時において注意が必要なバイアス」について書いていきます。

今回は、同調性バイアスについてです。
これは「周りの人と同じ行動をとることが安全」と考える心のはたらきです。

1950年代のアメリカでアッシュが行った有名な「同調実験」と言うものがあります。
実験は大学生8人を1グループにして行われました。そのうち7人は実験者が仕込んだニセの被験者(サクラ)で、1人だけが本当の被験者です。
実験者は全員に1の様に描かれた直線を示し、2に描かれた3つの直線のうちのどれが1と同じ長さであるかという問題を何問か出して、回答を求めました。サクラ役は最初の数回は正しく答えて、途中から間違った回答をすることになっていました。
この実験の目的は、サクラ役の回答が被験者の回答にどんな影響を与えるかを調べるものでした。

その結果、37%の本当の被験者はサクラ役の間違った回答に同調しました。また、本当の被験者の約3/4が少なくとも1回の同調行動をしたそうです。

同調実験

この様に、私たちは集団の行動や言動に同調する傾向があります。
このことは、協調性や社会性が求められる集団活動を行う上で大切なことでもあります。日本は「調和」を重んじる国民性があると言われるため、このバイアスは強くはたらくと言えるかもしれません。

しかし、災害や事故が起こる緊急時において、このバイアスは注意しなければなりません。
「みんなもそうしているから大丈夫」「自分だけ違った行動を取るのは不安」、こういった同調性バイアスは、「みんなが逃げないから自分も逃げない」といった認識になり、結果逃げ遅れにつながることがあります。

災害時において、こういったバイアスは誰にでも起こり得ることです。
このように起こりやすい心の動きを知って、防災にお役立て頂ければと思います。

心の防災①「正常性バイアス」[2022.10.27]

心の防災①「正常性バイアス」災害時における逃げ遅れの心理のひとつに、「正常性バイアス」という心のはたらきがあります。バイアス(bias)とは、心理学では「偏見」「先入観」「思い込み」などと定義されています。なので、正常性バイアスは、“たいしたことではないだろう”“問題ではないだろう” “正常なことだろう”“自分は大丈夫だろう’’と思い込む心のはたらきを意味します。

例えば、隣の建物で火災報知器が鳴ったとします。
すると、私たちは「誤作動かな?」とか「避難訓練かな?」「点検かな?」と思うことが多く、火事が起こっているとは考えにくいのではないでしょうか。

でも、本当に火事が起こっている場合はどうでしょう?

正常性バイアスがはたらいていると、火災報知器が鳴ったのは異常なことではなく、「正常なこと」と思い込み、「異常なこと」という緊急事態のスイッチが入りません。
スイッチが入らないので、いつもの様に過ごしていると、災害や危険に巻き込まれたり、対応に遅れが出たりする可能性が高まります。
つまり、逃げ遅れにもつながるのです。

通常、この正常性バイアスは、私たちが些細な変化に反応せずに、“このぐらいは正常の域だから”“たいしたことじゃない、大丈夫”と心を落ち着かせる安全装置としてはたらいています。
ですが、緊急時や災害時には注意が必要です。

災害時において、こういったバイアスは誰にでも起こり得ることです。
こういった心の動きを知って、防災に役立てて頂ければと思います。

(次回も「災害時において注意が必要なバイアス」について書いていく予定です。)

“揺れている感覚”への対処方法[2022.8.26]

「ショッキングな報道」に対する“心の影響”と“距離の取り方”「あれ?地震?!」
「なんか揺れているけど、自分だけ感じてるの?!」

周囲の人は感じていない、情報にアクセスしても地震は起きていない、・・・なのに、どうして自分だけ感じるのだろう・・・。

こういった経験はありませんか?

実は、このようなことは誰にでも起こりうることです。

その原因のひとつとしては、体に揺れの感覚が残っていたり、体のバランスが一時的に崩れたりすることが考えられます。

また、不安な気持ちが影響しているとも考えられます。

それと、小さいお子さんが地震の揺れを非常に怖がることもあります。
これは、なぜそれが起きているか、年齢的に状況認識が出来ないのがひとつの原因と言えます。

そして、まだ発達過程にあるお子さんは、揺れに対して体のバランスを取りにくいことがあり、そのため不安になることもあります。

それでは、地震後揺れている感覚が続く時や、地震がないのに揺れている感じがあって気になる時は、どうしたらいいのでしょうか。
・・・大切なのは、″軽く体を動してみる″ことです。

◎外に出て歩いてみる
◎外の景色を眺めてみる(特に広く見渡せる景色がおすすめです)

こうしてみると、揺れている感覚が解消してくることにつながります。

(※揺れる感覚が強い時は、しばらく安静にしてみて、それでも続く場合は医療機関を受診することも検討して下さい。)

ご自身のお体と上手にお付き合いいただければと思います。

「ショッキングな報道」に対する“心の影響”と“距離の取り方”[2022.6.16]

「ショッキングな報道」に対する“心の影響”と“距離の取り方”長く続くコロナ禍の中でやっとwithコロナの生活にも慣れてきて、私たちの暮らしも少しずつ平穏を取り戻しつつあります。しかし、一方、ロシアとウクライナの紛争関連のニュースが連日のように流れていて、心が落ち着かないという人も多いのではないでしょうか。 

爆撃シーンや破壊された街並みなどショッキングな映像を目すると心が痛みます。戦火の中で家族を亡くしたり住む場所を失ったり、辛い体験をしているウクライナの人々のインタビューを聞くと、心が揺れて辛くなることもあるかもしれません。また、自分のことのように感じて気持ちが落ち込みがちになることもあるかもしれません。それは、テレビなどで悲惨な映像を見たりすることが強いストレスとなるからと考えられます。気持ちが落ち込むだけでなく、時には眠れないとか食欲がなくなるといった症状が引き起こされることもあります。こういったことは日本に限らず多くの国の人々に起こっています。

「影響があるかもしれない」と感じる場合は、なるべく報道ニュースを見ないようにするか、「一日30分だけ見る」と時間を決めておくなど、意識的に情報から距離を取るようにするとよいと思います。そして、規則正しい生活を送る、好きな音楽を聴く、ゆっくり散歩するなど、心と身体を労わる時間を作ることを心掛けていただければと思います。

特設サイト
「東日本大震災風化防止イベント さらなる復興に向けて2022」[2022.3.2]

もうすぐ東日本大震災から11年を迎えようとしています。
東京都と東北4県(青森県、岩手県、宮城県、福島県)は、平成29年度から震災の風化防止と支援継続の呼びかけを目的に「東日本大震災風化防止イベント」を開催しています。今年度は「さらなる復興に向けて2022」とし、<特設サイト>を設けていますのでご紹介したいと思います。

東日本大震災風化防止イベント さらなる復興に向けて2022

※1/21~3/21まで開催
ホームページ:https://fukkou-forum.jp/

(主催)東日本大震災復興フォーラム実行委員会(青森県、岩手県、宮城県、福島県、東京都)
(共催)一般社団法人汐留シオサイト・タウンマネージメント

「東日本大震災風化防止イベント さらなる復興に向けて2022」「各県の復興の取組み」を、<特産品><現在の市場の様子><観光>などの画像や映像で紹介。「震災を風化させない取組み」として、<オンラインを使った伝承の取組み>や<防災知識>を動画やサイトなどで紹介しています。
また、<#東北チャージメシ>として、東北4県の食材や料理の写真をSNSでシェアする企画や、<都内アンテナショップ周遊>として、オリジナルグッズがもらえるといったキャンペーンなどの情報も掲載されています。
東北4県にゆかりのある著名人からの応援メッセージなども見ることが出来ます。
「ささえる、つたえる、つながる。これからも。」をキャッチフレーズに「被災地の今」と「東北の魅力」を発信し、「支援の継続」を呼びかけています。
たくさんの今が詰まったサイトです。よろしければ覗いてみて下さい。

夢・目標を実現させる「目標達成シート」[2022.1.6]

昨年2021年の新語・流行語大賞の年間大賞を受賞したのは、アメリカ大リーグのロサンゼルス・エンゼルスで活躍するプロ野球選手の大谷翔平さんの「リアル二刀流/ショータイム」でした。
2021年の大谷選手は、打者では本塁打46本、投手としても9勝と、二刀流としてトップクラスの成績を残し、アメリカン・リーグの年間MVPも受賞するなど大活躍を見せてくれました。
大谷選手のプレーする姿に、まるでマンガや映画などのエンターテインメントを見ている気分になった方も多いのではないでしょうか。国を超えて多くの人が、あり得ないことをやってのけてくれるだろうと期待し、パフォーマンスとして実現してくれる姿に歓喜しました。コロナ禍の中で明るい話題を運んできてくれた、正にショータイムと言えるでしょう。

こうした大谷選手の大躍進を支えた一つの要因として、彼が高校生の時に書いた“夢を叶えるための目標設定”にも注目が集まっています。具体的には目標達成シートというものを作成するのですが、中央に「目標」、その周りの8マスに「目標を達成するために必要な要素」、さらにその8マスの外側の8マスの合計64マスに「実現させるための具体的な項目」を書き込んでいきます。

目標達成シートの写真右が大谷選手の書いた目標達成シートの写真(出典:スポーツニッポン)です。
まず、シートの中央のマスに、「ドラフト1位で8球団から指名されること」という目標が書かれているのが分かると思います。

次のその目標の周り8マスに、目標を達成するために必要なことが書かれています。
ここでは、「体づくり」、「コントロール」、「キレ」、「メンタル」、「スピード160km/h」、「人間性」、「運」、「変化球」となります。

さらに、その8マスの周囲のマスにそれぞれに上記の8つを達成するための具体的な項目が入ります。例えば、左下隅の「人間性」では、それを達成するための項目として、「感性」、「愛される人間」、「計画性」、「思いやり」、「礼儀」、「信頼される人間」、「継続力」、「感謝」の8つが書かれています。他の項目もすべて埋めると合計64個の目標達成に必要な項目が書き込まれることになります。

目標達成シートは、目標達成のための具体的な課題を明確にして、実際の行動につなげていくという方法ですが、大きな夢という程ではなくても、「何かをしてみよう」「してみたい」と思った時に、こうしてシートに書き出すことが、1歩1歩進む道筋のヒントになるかもしれません。また、書き出すことで、思ってもみなかったアイデアが湧いてくることもあるでしょう。
新年の始まりに、今年の目標を書き出してみるのも良いかもしれませんね。

セルフ・モニタリングのすすめ[2021.10.28]

セルフ・モニタリングのすすめ前回は“コロナうつ”や“コロナ疲れ”について、「ストレスを抱えている」と言う理解が、自身や身近な人の支えになることを書きました。

 今回は、そういった気分や状態を予防する方法として「セルフ・モニタリング」をご紹介したいと思います。
 “モニタリング”とは、観察し、記録すること。つまり、セルフ・モニタリングとは、自分(の状況、考え、気持ちなど)に少し距離を置いて眺めることです。

「ストレスを感じる状況は?」
「ストレスのある状況でどんな考え方をしやすいのか?」
「自分はどんな気持ち(感情)になっているのか?」

例えば、
ストレスを感じる状況は?・・・家に1人でいる時間が長い日
ストレスのある状況でどんな考え方をしやすいのか?・・・自分には全然良いことがない
自分はどんな気分(感情)になっているのか?・・・憂うつな気分

ここから何が見えるでしょうか。
  ↓    ↓    ↓   
状況を少し変えてみようと・・・誰かに連絡を取る時間を作る人もいるでしょう。家だけでなく散歩をする時間を作る人もいるかもしれません。
考え方を変えようと・・・少しでも良いこと見つけようとしたり、
憂うつな気分が少しでも和らぐ様に・・・マッサージしてみたり、好きな香りのお茶を飲むこともいいですね。

自分を外から眺めることで、少し状況が見えてきて、出来る範囲で前向きな方向へとつなげられます。
気づいたことをメモに書き出したり、日記の様に書いてみるのも役に立ちます。

セルフ・モニタリングでストレスと上手く付き合い、前向きに過ごせる時間を増やしてみませんか。

疲れた気持ちを支える目を[2021.09.16]

疲れた気持ちを支える目を「早くマスクを取って以前のように生活したい」
「気軽に人と会って話したい」
「イベントやレジャーを楽しみたい」
など、感染予防の為に色々な気持ちを抑えて過ごしている人が多いのではないでしょうか。

新型コロナウイルス感染症によって、私たちの生活は大きく変わり、今なお不安定な状況が続いています。

こうした中で、“コロナうつ”や“コロナ疲れ”といった言葉を聞くことが増えてきました。仕事、学業、子育て、家計、健康維持の不安や難しさなど、程度に差こそあれ、あらゆる世代の人がこれまでの生活との違いに直面しています。その状況がストレスとなり、抑うつ状態を起こすことがあります。
抑うつ的な気分になると、悲しい気持ちが続いたり、気が重くなったり、落ち込みやすくなります。また、やる気がなくなると、やろうと思っても出来なくなって、学校や職場に行けなくなったり、家事がおっくうになってしまったりします。

ご自身を含め周囲にこういった様子の方がいましたら、注意して頂ければと思います。
「ストレスを抱えている」と言う身近な人の理解が、その人を支える力にもなります。

「復興庁 東日本大震災発災10年ポータルサイト」のご紹介[2021.05.27]

「復興庁 東日本大震災発災10年ポータルサイト」のご紹介今年の3月11日で東日本大震災発災から10年が経ちました。
復興庁の作成したポータルサイトが作成され、“これまで”と“これから”についてたくさんの工夫ある内容が掲載されていましたので、ご紹介いたします。
復興の現状を数字や動画などで紹介するコーナーもあれば、福島県内の高校生達が震災の経験を通して今の自分の思いをプレゼンテーションする動画など見ごたえのあるコンテンツがたくさんあります。ちょっとした時間でも楽しめるマンガやゲーム、各地のラーメン店紹介などもありますので気軽にのぞいてみてはいかがでしょうか。

復興庁 東日本大震災発災10年ポータルサイト

レジリエンス(心のしなやかな回復力)を育てましょう[2021.03.01]

レジリエンスを育てましょう「レジリエンス」、聞きなれない言葉かもしれませんが、心理学では“心のしなやかな回復力”を意味します。
思ってもみない様々なことが起こって心が元気を失っても、心には回復する力があります。そして、その回復力は“しなやかさ”(弾性)があって出てくる力です。
私たちは今、災害であったり、ウイルス感染拡大であったり、それによって生活が変わってしまったり、それまでは考えつかない生活を余儀なくされています。
それでも心は、その状況をしなやかに回復しようとする力を持っています。

”しなやかに”とは、「程よく」とか「(状況)に応じて」とか、無理なく状況に合った程度にといった感じです。
社会生活には“折り合い”が必要です。
「絶対こうじゃなきゃダメ」と思うと、そうならない現実が辛くなりますが、「このぐらいで良しとしよう」と思うと、何となく現実が生きやすくなります。
レジリエンスとは、そういった”しなやかな”とらえ方です。

レジリエンスがある人には3つの心理的特徴があると言われています。

<レジリエンス(心のしなやかな回復力)の3つの心理的特徴>

  • 新しいことを求める気持ち
    新しいことに興味を持ったり、チャレンジしてみようと言う意欲が持てる
  • 感情調整
    自分の気持ちをある程度コントロール出来る
  • 前向きな未来志向
    これから先、色々なことがあっても、基本的には明るく楽しく過ごせて、それに向かってやっていこうと思える

この3つの心理的特徴を大事にすると、レジリエンスを育てることにつながるでしょう。

ステイホームの時期だからこそ、レジリエンスを育てて、無理なく過ごしたいですね。

「こころ」の疲れをほぐす「3つのR」[2020.11.05]

「こころ」の疲れをほぐす「3つのR」長引くコロナ禍の中で、「コロナ疲れ」や「コロナうつ」という言葉をよく耳にします。外出や趣味の活動など、今までできていたことができなくなるような制限された生活を続けていると、ストレスがたまっていき、身体だけでなく「こころ」も疲れてしまうことが起こります。
もし、意欲がわかない、イライラしやすい、気分が落ち込む、よく眠れないなどの不調が見られたら、「こころ」の疲れがたまっているサインです。そんなときは「こころ」の疲れをほぐす「3つのR」を試してみてはいかがでしょうか。
※「3つのR」とは、①Rest「レスト」、② Recreation「レクリエーション」 、③Relax「リラックス」のことです。

  • Rest「レスト」は、身体を休ませたり、睡眠をしっかりとるなど、休息することです。
    たとえば、窓を開けて、空を見上げる。いろいろな形の雲が流れるのをぼんやり眺める。換気もできて、頭も休まります。(歩きながら見上げるのは危険ですからやめましょう)
  • Recreation「レクリエーション」は、料理、散歩、ストレッチなど好きな活動をしてみることです。特に少し身体を動かす活動は、脳や身体の活性化にもつながるのでお勧めです。
    たとえば、ラジオ体操。第2体操まではきついけれど、第1 体操だけでも、あるいは講師の元気な声に合わせて準備運動するだけでもいいかもしれません。
  • Relax「リラックス」は、マッサージ、お香を焚く、心地よい音楽を聴くなど、くつろぐことです。
    たとえば、顔のマッサージ。顔に力を入れて目をぎゅっとつぶったり、口を尖らせ たり、とてもすっぱいものを食べたときのような顔にします。それから両方の手の ひらをやさしく顔に当てて、顔の力を抜きながらしわを伸ばすように顔の中心から外側に広げます。それをもう1回。そして最後にニッコリ笑顔を作ります。

「3つのR」をバランスよく生活に取り入れることがお勧めです。それでも「こころ」が落ち着かない時は、一人で抱え込まずに当電話相談「ほっとラインしゃくなげ東京」もご利用していただければと思います。

「運動」で体も心もサッパリと[2020.06.04]

「運動」で体も心もサッパリと体を動かすと気持ちがサッパリとすることってありませんか。
考え事していたのに、散歩して帰ったら気持ちが切り替わっている、そんな経験はないでしょうか。

東京都健康長寿医療センター研究所の研究によれば、歩くことは脳の機能の低下を防いでくれて、認知症予防に大切なことだそう。歩くことによって、全身の血の巡りが良くなり、脳も活性化され、結果的に脳の健康維持になるとのことです。

このことは高齢者に限ったことではありません。どんな年齢層にも当てはまります。
そして、散歩などの適度な運動や動作によって、血の巡りが良くなり脳や体の機能が活性化してくると、結果として気分もサッパリとしてきます。私たちの心理状態にも大きく影響しているのです。

何となくスッキリしない時、何となくモヤモヤする時、行き詰った時、疲れた時、または毎日どこかで1回、運動をする時間を取ってリフレッシュしてみませんか。

東京都では、世代や機能で選べる運動動画も配信しています。

  • 家にいる時間が長い人向け体操
  • 帰宅後のちょっとの時間に出来る運動
  • 気軽に出来るラジオ体操
  • オフィスで出来るエクササイズ
  • 体の機能別運動
  • テレワークの合間の運動
  • 介護予防・フレイル予防のかんたん体操

https://www.sports-tokyo-info.metro.tokyo.lg.jp/
ネットなど色々探してみるのも良いかもしれませんね。

参考資料:地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所研究トピックス

非常時における心のバランスを取るヒント[2020.04.30]

非常時における心のバランスを取るヒント3~5月、春は生活の変化が大きい時期ですね。
ただでさえ変化に慣れることに気を張る時期です。
今年はこれに加え、新型コロナウイルス感染拡大の為、WHOからはパンデミック宣言、日本では法改正が行われ緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出の自粛、仕事のテレワーク化、学校の一斉休校、イベント等の中止、店舗の休業や自粛要請など、私たちの生活はかつてないほどの変化を余儀なくされています。そんな普段とは大きく異なる生活の中で不安やストレスを感じている人は多いのではないでしょうか。
これまでであれば、不安やストレスを和らげる為に必要なこととして“人と交流すること”を大事にしてきた私たちですが、今回は3蜜(密閉・密集・密接)を避けることが感染予防に不可欠とされ、人との関わりや交流する場に行けないという難しさに向かい合っています。
今回はこういった状況で、大切にしたい、心のバランスを取る方法をいくつかご紹介したいと思います。

  • 食事や睡眠、運動などバランスのある生活習慣を心がけましょう。
  • 大切な人や信頼出来る人と電話・メール・SNS、ビデオ会議などを使って連絡を取り合いましょう。
  • ホッと一息つく時間をもちましょう。
  • たばこやお酒などに頼りすぎないようにしましょう。
  • 不安をあおる様な情報に接する時間を減らして、WHOや厚生労働省、東京都などの公的な情報を見るようにしましょう。
  • 子どもたちが不安を感じている時は、からだを使って遊んだり絵を描いたりする創造的活動は不安を和らげてくれます。
  • 過去ストレスを受けた時に「あの時こんなことやったら上手くいったな」といった、やり方が役に立つことがあります。


それでも強い不安や気分の落ちこみがある場合は、カウンセラーなどの専門家に相談してみて下さい。よろしければ、当電話相談「ほっとラインしゃくなげ東京」もご利用頂ければと思います。
一人で抱え込まず、みんなで力を合わせてこの状況を乗り切りましょう。

参考資料:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)WHO公式情報特設ページ

“話すこと”でリフレッシュ[2019.12.19]

“話すこと”でリフレッシュ令和元年もあと二週間ほどになりました。
避難生活が続いている方々の中には、住宅の移動に向けて準備が忙しい時期になっている方もいらっしゃるかと思います。
寒さが増して来るこの時期、体調管理を含めて、どうぞお体を大切になさって下さい。
さて、片づけをしているとついつい時間が過ぎてしまって生活のリズムを崩したり、根を詰め過ぎて体のコリや痛みが出たりすることもあるかもしれません。
また、片づけがひと段落した時や、一息ついた時、今後のことを思って心配になったりすることもあるかもしれません。
そのような時、話をすることで気分が変わることもあります。
張りつめてこわばった体が話をすることで楽になったり、ふと心配になったことなども話をしてみたら、整理されたり、気になり方が変わったり…。

電話相談「ほっとラインしゃくなげ東京」では、皆様のお話を聞かせていただくことで、少しでもお役に立てればと思っています。

“からだ”や“こころ”の声を聞いていますか[2019.07.18]

“からだ”や“こころ”の声を聞いていますか「疲れていませんか」そう聞かれて「疲れていません」と言うものの、話をしていく中で本当は疲れが溜まっていたことに気づく、そんなことが時々見られます。
私たちは意外に“からだ”や“こころ”を意識せずに過ごしていることが多いのではないでしょうか。

電車に乗ると、たくさんの人がスマホに向かっている光景を目にします。今は学校や会社でもパソコンやタブレットを使うことが多いでしょう。昼食やお茶などの休憩時間もスマホを見ている、そんな生活していませんか。夕方から寝るまではどの様に生活しているでしょうか。
現代人はウェブサイト、SNS、オンラインゲームなど様々な情報の中に生きています。環境を変えずに色々な情報や人にアクセスすることが出来ます。が、それは見方を変えると、意識は情報に向かうことが多く、自身の“からだ”や“こころ”に向かう時間が少なくなっているとも言えないでしょうか。

ふと、からだを意識すると、疲れている時は肩が凝っていることに気づいたり、頭が重かったり、目が疲れていることを感じます。そうしてからだの疲れを感じ取ると、“からだ”そのものの疲労や、“こころ”の疲労が感じられることにもつながります。
“からだ”や“こころ”を意識するのを忘れて疲れが溜まってくると、からだやこころが悲鳴をあげることがあります。眠れない、気分が落ち込む、朝起きれない、頭痛が収まらない、体がダルい…そんな症状につながることもあるのです。
そんな時は“からだ”や“こころ”の声を聞くことが大切になります。
また、そうなる前に少しでも“からだ”や“こころ”の声を聞くことに慣れておければ、悲鳴をあげる前にそれに気づけるでしょう。

お風呂に入った時、暖かくホッとしている、またはサッパリと感じる“からだ”や“こころ”。美味しいものを食べた時、美味しいと感じる“からだ”や“こころ”。または期待した味とは違って少しがっかりした時の“からだ”や“こころ”。そんな変化を感じることが心身の健康作りに役に立つと思います。

『公認心理師』資格誕生[2019.02.22]

『公認心理師』資格誕生2019年度から新しく『公認心理師』という心理職の国家資格がスタートします。
公認心理師は、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、①心理状態の観察、その結果の分析 ②心理に関する相談及び助言、指導その他の援助 ③関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助 ④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供などを行います。
これからさまざまな分野で活動の場が広がっていくことが期待されています。
また、それに伴い、東京臨床心理士会は、名称が「一般社団法人東京公認心理師協会」に変更になります。
変更後も活動は継続していきますので、よろしくお願いいたします。

“良質な睡眠”に近づく工夫をしませんか?[2018.07.19]

“良質な睡眠”に近づく工夫をしませんか?避難者の方のお話の中に、避難後に「眠りにくくなった」「睡眠が上手くいかない」、といった話題が出てくることが少なくありません。
良質な睡眠は、こころとからだを健康に保つために大切なことの1つと言われています。
厚生労働省は、睡眠に関する健康づくりを推進するため,「健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠指針12箇条~」をまとめています。
良質な睡眠を取り、健康的な生活を送る参考にしてみて下さい。
出来そうなことを工夫して、少しでも健康的な生活が送れます様に。

  1. 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
  2. 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
  3. 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
  4. 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
  5. 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
  6. 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
  7. 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
  8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
  9. 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
  10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
  11. いつもと違う睡眠には、要注意。
    ※いつもと違うとは、睡眠中の激しいいびき・呼吸停止、手足のぴくつき・むずむず感や歯ぎしり等
  12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を

厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠指針12箇条~」抜粋

「夢」からのメッセージ[2018.01.18]

誰かに話すことの大切さ新しい年が明けましたが、みなさん、今年はどんな初夢をみましたか?初夢に限らず、夢をみると、どうしてこんな夢をみたのだろうと不思議に思うことってありますよね。
心理学では、夢は「無意識」の表れとも言われています。「無意識」とは、普段考えないようにしていることや、ひそかな願望、思い出したくない記憶などが含まれます。それらが眠っている間に夢として現れて、私たちの意識に何らかのメッセージを送っているとも考えられます。
夢の解釈の仕方はさまざまですが、印象的な夢をみたら、「どうしてこんな夢をみたのかな?どんな意味があるのだろう?」と思いを巡らしてみることは、無意識からのメッセージに目を向けることにもつながります。そこから何か今の自分にとって役立つヒントや道しるべが見えてくることがあるかもしれません。

誰かに話すことの大切さ[2017.08.19]

誰かに話すことの大切さ今年は空梅雨と言われていましたが、局地的に短時間で大雨が降り、日本各地で甚大な被害が起きていますね。この様子の映像がニュースなどで何度も流れているのを目にして、被災経験のある方の中には、被災当時を思い出してしまった方もいらっしゃったかもしれません。最近は思い出さなくなっていたのに、また当時のことが甦ってきて、気持ちが揺れて驚かれたりしたかもしれません。
どうして時間がたっているのに、こんな風に気持ちが揺れるのか…。
日常生活で考えてみましょう。例えば、悪気はないけれど心にトゲが刺さるようなことを誰かに言われたとします。言った人はそのことを覚えていないのですが、言われた方はいつまでもそのことを覚えていたりすることってありませんか。これは言われた側からすれば、言われてモヤモヤする気持ちが解消されず、いつまでも心の中でくすぶり続けている状態とも言えるでしょう。この状態では、普段そのことを忘れていても、何かのきっかけでモヤモヤした気持ちに火がついて再燃することになります。
そんな時、「こんな嫌なことがあった」と誰かに話せれば、モヤモヤが解消されてすっきりとすることがあります。心の中でくすぶっているモヤモヤの火種をそのままにせず、誰かに話すことで消火できると、次からは火がつきにくくなるのです。
このことは、被災の体験にも通じます。

「思い出して辛いな」「突然その記憶が出てきて混乱していしまった」、そんな時は、誰かに話すことで変わることがあります。
電話相談「ほっとラインしゃくなげ東京」もそういった時にお役に立てればと思います。

文字を書くということ[2016.12.8]

文字を書くということ日ごろ、ペンや鉛筆で文字を書くことはありますか。パソコンや携帯電話を使って文字を画面に入力することはあっても、紙に向かって字を書く機会は少ないかもしれませんね。学校の授業などを除くと、鉛筆やペンなどの文房具を手にする機会が減っているのが現代人のライフスタイルと言えます。しかし、そんなご時世だからなのか、近年、ペン字や硬筆を習ったり、写経をたしなむ人が増えているそうです。「綺麗な字を書きたい」とか「パソコンばかり使っていると漢字の書き方を忘れてしまう」など様々な理由があるようですが、「紙に向かって文字を書いていると気持ちがリラックスする」、「雑念が消えて静かな気持ちになれる」など、精神面が安定する効果から始める人もいるようです。

それでは、どうして字を書くことが精神面に良い影響を及ぼすのでしょうか。一つには、鉛筆やペンを持ち、指先を使うことで脳を活性化させる効果があります。脳が活性化されるということは、創造力や意欲などが高まり、楽しさ、嬉しさや安らぎなどの心地良さを生み出しますので、これが先ほどの「文字を書いていると気持ちがリラックスする」ということにつながっていると考えられます。それから、別の効果として、文字を書くことに意識を集中させることで、精神統一できることが挙げられます。先ほどの「雑念が消えて静かな気持ちになれる」という状態であり、瞑想や座禅と似たような意識の状態に近いかもしれません。  
つい、便利でスピーディなものを求めがちな世の中ですが、たまにはゆっくり紙に向かって文字をしたためる時間を持ってみるのも良いかもしれませんね。

流行りの“カフェ”に見る“人とのつながり”[2016.10.20]

流行りの“カフェ”に見る“人とのつながり”「○○カフェ」という言葉を最近よく耳にしますね。「猫カフェ」、「ものづくりカフェ」、「哲学カフェ」や「落語カフェ」なるものもあるそうで、趣味や嗜好を共有する場として多種多様なカフェが存在するようです。そして、今の時代を反映した「認知症カフェ」や「子育てカフェ」なども登場しています。こちらは、カフェに集まった人々がお茶を飲みながら悩みや体験談を話し合うことで、情報交換をしたり、支え合う人間関係を築く場になっているそうです。どうやら、「○○カフェ」には、単なる「お茶を飲むオシャレな喫茶店」というだけではなく、人と人とのつながりを深める意味合いがありそうですね。

 さて、日本人がお茶を飲む習慣は、奈良時代に中国から日本にもたらされたと言われています。その後、茶道や闘茶(利き茶)の文化が広がり、お茶は、飲み物というだけでなくコミュニケーションの手段としても重宝されるようになっていきました。最近耳にすることが少なくなった「茶話会」という言葉がそれを物語っていますね。東北地方で使われる「お茶っこ」という言葉や「茶飲み友達」といった言葉もこれに近いでしょうか。お茶を飲み、日々のよもやま話をしながら人間関係を深める場が、昔から日本には自然とあったと言えます。

 ですが、人と人とのつながりが希薄になってきた現代では、「茶話会」などの機会も減ってきていますし、不特定多数の人と自由に話す場というのは敬遠されることもあります。そこで、「○○カフェ」という看板があると、「同じ趣味の人がいるんだなあ。」とか「同じ悩みを持っている人がいるなら、ちょっと話してみようかな。」と入ってみたくなるのかもしれません。隣近所の顔が分からず、誰とも話さない日もある現代人にとっては、「○○カフェ」は人とのつながりを感じられる大切な場なのかもしれませんね。

相手も自分も大切にする“伝え方”[2016.9.29]

相手も自分も大切にする“伝え方” 皆さんは人に対してイライラした時にどうしていますか?
 たいていは、自分でイライラを抑えて我慢するか、相手にイライラをぶつけるかのどちらかになりやすいのではないでしょうか。例えば、大事にしている本を友達に貸したがなかなか返してくれずイライラしている場面を考えてみます。このとき、返してほしい気持ちをグッと我慢するか、早く返すように怒って言うかのどちらかに、なりがちだと思います。

 グッと我慢する場合は、自分の気持ちを押し殺して嫌な気持ちを抱え続けることになります。逆に、早く返すように怒って言う場合は、言いたいことは言えても、その後、相手との関係が難しくなり、やはりすっきりとした気持ちにはなりません。

 こういう時の対応法の一つとして、カウンセリング場面などで使われる方法を紹介したいと思います。それは、「アサーション」という方法です。英語で「主張」という意味なのですが、自分も相手もどちらも大切にする表現の仕方として広まってきています。「アサーション」は、相手に配慮をしながら、自分の気持ちや要求を率直に伝える方法です。先ほどの例に当てはめると、「(私にとって)大事な本なのでそろそろ返してもらえますか。でも、(あなたは)まだ読みたいですか?それなら今週いっぱい貸すことができますよ。」といった言い方になります。

 どうでしょうか?これなら自分の気持ちを抑えつけることもしなくてよいし、相手も不快な気分にならないのではないでしょうか。日頃、我慢ばかりしている、怒ってばかりいるなあなどと思われる方、試してみていただけたらと思います。

ストレスと上手く付き合うために[2016.7.28]

ストレスと上手く付き合うために 私たちの日々の生活で、ストレスという言葉が当たり前に使われていますが、ストレスが溜まるとはどのような状態なのでしょうか。ストレス研究の第一人者セリエ(H.Selye)によると、なんとなく調子が悪い、肩がこる、腰が痛い、食欲がない、眠い、全身がだるい、元気がないといった漠然とした訴えが起こってくる状態だと言われています。そのような状態が長く続くと、憂うつ感、イライラ、不安、思考力低下、無気力、人と会いたくなくなる、会社や学校を休むなどの症状が現れてきます。

 さて、次にそのようなストレスを起こす原因にはどのようなものがあるでしょうか。50年ほど前に、アメリカで日常生活の中でストレスの強い出来事を数値化した研究が行われました(Holmes,T.H. &Rahe,R.H. 1968)。
 それらを上位15位までを表にまとめてみました。

順位 出来事 ストレスの強さ
(100が満点)
1 配偶者の死 100
2 離婚 73
3 配偶者との別居 65
4 刑務所への収容 63
5 近親者の死 63
6 大きな病気やケガ 53
7 結婚 50
8 解雇・失業 47
9 配偶者との和解 45
10 退職・引退 45
11 家族の病気 44
12 妊娠 40
13 性の悩み 39
14 家族の増加 39
15 仕事の変化 39

(Holmes,T.H. &Rahe,R.H. 1968)

 多くは悲しみや怒りなどのマイナスの感情を引き起こす出来事ですが、なかには7位の「結婚」、9位の「配偶者との和解」のように一見するとマイナスではないようなこともランクインしています。つまり、ストレスというのは良い出来事であっても悪い出来事であっても、何か身の周りに変化が起こると生じるものなのです。

 このコラムのコーナーでは折にふれ、そのようなストレスを生じさせる様々な出来事について、その対処のコツを臨床心理士ならではの視点からお伝えしていきたいと思います。

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